コンセプト

CONCEPT

良い治療結果を求めて

大学病院を辞めて私が開業した目的は、よい治療結果を残して、患者さんに満足してもらうためです。営業的なリスクを自分で負うことで、その為の全権を持ちたかったのです。理想的な治療の進め方で、治療前に患者さんと共有していたゴールをむかえ、ともに喜びあいたい!と考えました。少し青臭いかもしれませんが、今も変わらない本心です。

 

COUNSELING

治療を始める前のカウンセリング(診断)

矯正治療は、歯科の歴史に研磨された「理想的な咬合」と考えられるものに、患者さんそれぞれの条件の範囲内で近づけていく治療です。それぞれの条件とは、骨の長さや幅、歯の治療状態や歯の形、本数(生まれながらに少ない人もいます)、歯周病の有無、患者さんの協力度などです。ですから、矯正治療のゴール(結果)はポイントではなく、ゾーンであるといえます。 そして、治療ゴールのゾーンに到達する方法は1つではないことがほとんどです。 では、誰がその方法を決めるのでしょうか? どうせなら自分の好みの方法やゴールを目指したいと思いませんか? 口元(前歯)がたくさん引っ込んだ方がいい人、とにかく歯を抜きたくない人、どうせなら神経をとってあったり削ってある歯を抜きたい人、スピード重視の人、かみ合わせ最重視な人、患者さんの嗜好は様々です。しかし、適切な歯科情報の提供がなければ、患者さんはどの方法が自分の望むプロセスをたどり、自分の望んだゴール(結果)に到達するか分からず、ご自身で方法を選択することは難しいでしょう。さらに、良いことばかりの方法は1つとしてありません。その利点を得るために伴う欠点についても聞いていただかなければなりません。そう、各方法及びその結果は一長一短なのです。

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そこで、精密検査の後で現時点におけるあなたの歯並びに関する特徴や問題点を抽出し。プロブレムリストをまとめます。さらに、問題点に対応したいくつかの治療方法を提示し、その方法の各利点・欠点を挙げ、一つ一つご説明します。 その上で、矯正をやらないという方法も含めて考えていただきます。 このようなシステムで患者さんと一緒に現時点での問題点を確認し合い、治療方法やその利点欠点を話し合った上で矯正治療のゴールを決めていく作業が、矯正治療で一番大切なのだと考えています。患者さん(お子さんの場合は保護者の方も)と矯正医の目指すゴールを一致させてから治療を行うことによって、みんなでがんばって矯正治療が終ったときには、たくさんの笑顔が生まれるのです。

 

SYSTEM

装置のシステム

矯正治療のシステムはいろいろな流派があります。私は基本的にはプリアジャステッドブラケットシステム・ストレートワイヤーテクニック、スライディングメカニクスを選択しています。アメリカで最も広く使われているもので、シンプルな上、再現性が高いシステムです。 ・ワイヤーに抜歯空隙閉鎖用ループ(犬歯の前辺りにあるツノみたいなもの)を立てなくてよい。 ・チェアタイムの短縮→口を開いている時間が少なくてすむ。虫歯や歯周病など、歯並び以外のことにも気を配る時間を増やすことができる。 ・形状記憶合金である超弾性ワイヤーを使用することにより歯にかかる最大力を弱めることができる。 ・今後の発展性が非常に高い。 以上のような利点があります。術者側としてはワイヤー曲げをあまり行わないこと等からストレートワイヤー法といわれますが、実際は患者さん一人一人に合わせて微妙な調整が必要になります。

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また大臼歯部(奥歯)に矯正用バンドを極力使用していません。理由は、歯周病のコントロールに大変有利だからです。 矯正治療中も歯全体をグルッと巻いてある矯正用バンドの周辺は、不潔になりやすいのです。さらに、従来どおり、半永久的に使いたい差し歯や詰め物をくっつける用の強い接着剤で矯正用バンドを歯につけた場合は、治療が終わった後も矯正用バンドの前後の歯と歯の間(隣接面)の接着剤を完全に除去するのが、ものすご-く大変だと経験しています。(助手任せじゃなくて、自分で取ってたんです!大変なんです。口を開いてる患者さんも大変です。)取りきれていない場合は、不潔になりやすいですよね。 最近は歯に優しい接着剤で、前歯と同じように装置を貼り付けるようにしていますが、欠点としては、取れちゃうこともあるのです。 とはいえ歯に優しい接着剤でもわりと取れません^^; これからも 最良の方法を、慎重にチョイスしていきたいと思います。

 

GLUE

接着剤

セラミックブラケットや金属ブラケット、裏側ブラケットと、いろいろな歯に貼り付ける装置の情報がインターネット上などに踊っていますが、それらを歯に貼り付けるための接着剤については多く語られていません。矯正用の装置は、虫歯の治療の際に利用される差し歯や詰め物と違って半永久的に口の中に残って欲しいものではありません。歯を動かす治療が1~2年で終了すれば跡形も無く消えて欲しいものなのです。一般的な矯正用接着剤は歯をほんの一層溶かしてザラザラにした歯面に接着剤を流し込んでくっつけるという方法を取っています。しかし、それでは装置の役目が終わってはずしたときに歯に接着剤が残ってしまいます。歯を溶かしてもぐりこませた分の接着剤を取り除くにはホンノ一層歯を削る必要があります。このお話はミクロン単位のお話です。重箱の隅かもしれませんが、生理的には嫌な話だと思い、当院では歯に直接張り付く性質の接着剤を使用しております。但し欠点もあり、接着力がやや落ちます。 接着剤使用前の歯面処理後の電子顕微鏡像 左は通常の接着剤を使う前、右は当院使用の接着剤を使う前 (メーカーホームページより引用)

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ABOUT THE FINISH

仕上がりについて

私の目指す理想的な矯正治療のゴールすなわち比較対象モデルは以下のようなものです。一般的には出来る限りこれらの治療目標へ近づけていきます。 ・ 患者さんの一番気になるところが、改善されていること ・ 奥歯や横の咬み合わせが、歯車がかみ合うように1本対2本なこと ・ 唇の位置などの顔のバランスが取れていること ・ 上下前歯の重なりが適切なこと ・ 隣の歯同士がコンタクトポイントで、つらなること ・ 上顎前歯歯肉の対称性がとれていること ・ 治療期間を可能な限り短くすること 基本的には矯正治療が終われば、歯のガタガタ(叢生)は改善されています。それが当然で、その他の部分で治療結果の違いが出てきやすいものなのです。例えば、かみ合わせが不安定なままでよければ、口元がモコッとしてしまった仕上がり(特に女の子の場合はかわいそうな気がします)でもよければ、矯正治療をする前に作られた差し歯に合わせて歯が並べられて歯肉のラインが左右非対称になってもよければ等々、治療目標を下げればどんな装置や方法の治療(?!)でも成立しちゃうのかもしれません。しかし、欠点の方が多いような気もする結果の人(相談に来られた方)を見るにつけ、この治療をする前に治療後に起こる欠点について知らされいて、「それでもいいから、その方法でやりたい!」と治療を始めているのか?不思議になることがあります。と同時に問題点について教えてもらえなかったのかなーと悲しい気持ちになったりもします。

 

DENTAL HEALTH

歯の健康について

治療前のむし歯と歯周病のレクチャーから始まり、虫歯のなりやすさのテスト・インタビュー、歯周病の検査、バイトウィング、ブラッシング指導、スケーリング、PMTC、フッ素塗布など一般的な予防歯科メニューをほぼ全ての患者さんに行っています。 但し、一般歯科医院からのご紹介の方で、矯正治療前および矯正治療中の予防歯科に関して自院で行うとの指示があった場合を除きます。

 

ABOUT RETENTION

保定について
「歯は一生動いています。」

私たちの歯は、非常に僅かですが日々動いています。矯正しなかった人も、矯正治療が終了した人もです。 その方向や移動量は様々な条件によって変わっていくものと考えていますが、今の科学ではその要因・条件について十分な説明をすることはむずかしそうです。臨床的には保定装置をつけている間は歯の大きな位置変化はありませんが、たとえ20年間保定装置を使い続けた後でも使用をやめてしまえば歯の位置変化には逆らえない場合もあるようです。矯正をする前の歯並びに戻ってしまうことはないでしょうが、少しの(生理的な?)変化はある程度覚悟しておいたほうがよいのかもしれません。患者さんそれぞれに変化の受け止め方が違うのでなんともいえませんが…少しでも歯が動くのが嫌で、矯正治療によって得られた歯並びをピッタリ保ちたいということであれば、保定装置を1週間に数回、夜間だけでも使用し続けることをお薦めします。