AINTRODUCTION
歯科の二大疾患は、ムシ歯と歯周病です。私の専門分野は矯正治療ですが、歯医者なのだからそれら代表的な歯科の病気についてももう少し勉強しようと歯医者になりたての頃に考えました。
それから、少しはムシ歯や歯周病のこと、特に予防学について整理できたように思っています。しかし、ムシ歯と歯周病の研究は日々進められています。ついていけるように細々と勉強は続けたいと思います。
CAVITY
現時点での考えでは「一般的なムシ歯のなりやすさ」の方(大多数)であれば、歯磨き粉(フッ素の使用)を使ったそこそこのブラッシングと歯科医院での定期的なクリーニング、フッ素塗布等によって新たなムシ歯の発生は食い止められそうです。臨床経験としても大学病院で多くの矯正患者さんにクリーニングを私自身が行ってきましたが、新たなムシ歯の発生はほぼ予防することができました。
賢明な方ならお気づきでしょう。第一に「ムシ歯のなりやすさ」を知るコトが重要です。特に日本の歯科事情を考慮すると必要性が高いと思います。この「ムシ歯のなりやすさ」は数種類の検査項目によって判断されます。その結果が良くても安心できませんし、悪くても諦める必要はありません。「ムシ歯のなりやすさ」は変化していくのです。あなたの行動、つまり生活習慣や環境変化によって多くの項目の評価は変わっていきます。
「甘いものは絶対食べるな!」とか「100%のブラッシングをしなさい!」とか、私自身が絶対出来ないような無理難題を押し付けるようなことはいたしません^^ むし歯のメカニズムと予防するコツをお教えします。
PERIODONTAL DISEASE
歯周病に関してもムシ歯と同じようなことが言えると思います。一般的な「歯周病のなりやすさ」の方でしたら、そこそこのブラッシングと歯科医院での定期的な歯石の除去を含めたクリーニングによって、食い止められそうです。やはり、生活習慣や環境変化によって「歯周病のなりやすさ」の評価は変わっていきます。
また、歯周病が進行して歯根が露出してくるとブラッシングの難易度が上がって現状維持するのが大変になってきます。この場合ムシ歯の予防もやや難しくなります。
ムシ歯の予防と違うところは、歯周病とは歯肉の中で起こる病気なので目で見て汚れを取ることが出来ない部分が多いということ、「歯周病のなりやすさ」の包括的な検査が完全には確立・普及していないことなどです。
歯周病の予防は、歯科衛生士をはじめとした医院の実力が試されるところです。もちろん経営者であり、診断をする人である院長がどういう決断をするかが、患者さんの口の中の将来を決めるわけです。また、患者さんがその環境を生かさなければ意味がありません。みんなで協力し合うということですよね。
TREATMENT AND PREVENTION
プラーク・リテンション・ファクターという言葉があります。食べかすがネバネバに変化したものが引っかかりやすい、取りずらい原因または部位という意味です、歯並びがガタガタなことによって食べかすがつきやすく、歯ブラシがいつもあたらない場所があれば、そのガタガタの歯並びおよびその部位はプラーク・リテンション・ファクターといえます。そして、矯正治療によって歯並びを整えることで、ネバネバを楽に効率よく取れるようにすることは、予防的な治療といえるでしょう。
しかし、矯正治療を行う約2年間は、まさにプラーク・リテンション・ファクターが激増するわけです。よって、矯正治療を始める前には「ムシ歯のなりやすさ」の検査、食生活習慣の改善、ブラッシングの充実が大切です。