2025.03.30
矯正治療ー気持ち
しゃべる
正確に近い知識をお渡しすることにはひとハードルあります。父の医療のモットーであった「赤子の手を捻るような医療をしない」で言えば、赤子を赤子のままにすることで医療側がある種のリスクを避けられることになるのかもしれません。どんな治療結果になっていても、患者さんは「キッチリ、しっかり、キレイな、世界的な、愛される」とかいう言葉しか聞かされてませんから苦情が出づらい⁈。当院では矯正について大人の患者さんだと90分、私自身が話します(治療後アンケートではほとんどの方がこの時間設定が適切だったと評価してくださっています。長くない^^)。ウチの患者さん達はアングルの分類について知っていたりします。endo-endoやFullまで知っています。少なくとも診断の時点では理解してくれています。そして、私の患者さんになってくれると言っていただくと、むし歯と歯周病について計60分説明します(これも評価いただいています)。
これらのことは、まあある意味考え方よっては私の首が閉まるだけです。自分でもどういうモチベーションなのかクリアにはなっていないのですが、しゃべりたがる。良い人ぶってかっこつけているだけだと自嘲していましたが、20年間やってきてみて、どうやらそんなことでもないような気がします。
矯正治療後に笑顔が生まれるために、患者さん自身がどういう状態なのか?なぜ複数のゴールが提示されたか?各ゴールの利欠点は?リスクは?という手順を踏んだうえで、このゴールが欲しいと選択してから矯正治療に踏み切っていただきたいのです。そして、その通りのゴールを迎えられたら、きっと。
さらに、矯正治療は健康の上に成り立っています。しかし矯正治療前、健康でない人が多いです。健康でいる術を知らない人が多いです。しゃべる。矯正が終わり一様の笑顔が生まれます(生まれていると思う)。2年間、診続けてきた人にその先も健康でいてほしいですし、そのための自衛する力が必要ですし持ってもらいたいです。
文字にすると大層ですがごく当たり前のように思えるようなこの診療システムを作ることは単純に経営的タイパ・コスパの面だけを考えれば非常に大きなロスなのです。でもそれをしてみたくなってしまったので、20年前に当院を開業しました。なぜなら私のやっていることを許してくれる経営者がいなさそうだと思ったからです。他人のフンドシで相撲は取れません。経営的なマイナスを自分が背負えば、自分の考える理想的な診療をし続けられると考えたのです。数年前に経営セミナーを受講して本当によくわかりました。私の診療でしていることはことごとく経営的(特に短期で)に推奨されないことばかりです。
でもきっと私の患者さんにはプラスになっているはず。と信じたい。いや、なっていて。