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2012.09.23

矯正治療ー気持ち

鏡を渡す瞬間

2年近くの時間をかけて歯を動かす治療が終わる.患者さんは,自分の歯並びが以前よりきれいになっていることは既に知っている.しかし,装置が外れた状態を想像しきれずにいることが多い.美容室では,1時間程度の作業で「リズム」の夏川さんは心配しつつも誇らしげに鏡をかざすが,ナンセこちらは2年間である.装置をはずして,接着剤を除去し,クリーニングをし終えて,「はいっ.」と鏡を渡す瞬間.過度な期待はしないようにしながらも患者さんの表情をさりげなく見る.患者さんの笑顔がひろがるのを見たときの安堵と達成感は,一度味わうと辞められない.助手が気を利かせて先に鏡を渡してしまったときなどは,予定していた楽しみを奪われた子供のような気持ちになる.患者さんのこの笑顔からの逆算ですべての治療が組み立てられていくのだ.
ずいぶん昔に書いた文章が出てきました。この時読んでいた本の文体に引っ張られてるんだろうなー^^;