どんな歯並び&お顔のお子さんにしますか?
少し積極的に考えるのはどうでしょう?歯医者に何か言われて、学校の検診で指摘されて、困った末の矯正治療というのではなく、親として我が子の歯並びやお顔をどうプロデュースしていくのか、戦略を立てて向き合っていくというのも前向きで良いように思います。
その際に子供の矯正治療を考える上で、大きな要因は3つ位でしょうか。
- 1.治療期間=こどもの負担、調整料の増減
- 2.費用=基本矯正料(子供の料金VS永久歯列期の矯正料)
- 3.仕上がり=機能性や美しさ、抜歯VS非抜歯
1.2.3.のどれを最重要視するかによって、方法(戦略)は変わってくるのだと思います。
【例】
小学校2年生の女の子。一般歯科で、大人の歯がはえて来る隙間が無いので、「今すぐ 床矯正装置を使った方が良い」と言われ、相談にこられた方。
診査診断の結果・・・骨の位置にやや問題あり、下顎骨が前方に伸びが弱い。上下の歯列に叢生(ガタガタ)がある。
1.治療期間を重要視した場合・・・今の時点で叢生を改善したとしても、はえかわりや骨の成長によって変化し、きれいな歯並びかみ合わせのままかどうかは誰にも分かりません。現時点では診査診断で状況を掴んだだけで、治療はせず、はえかわり・骨の成長が落ち着いたら(中学2年生位になったら)、状況を見て再診断し、治療開始を予定します。その際は抜歯の可能性があるということ、下顎の伸びは自然に任せるということを了承してもらいます。
2.費用を重要視した場合・・・上顎骨をひろげることで、下顎骨の拡がりが幸運にも上手く合ってきて、しかも下顎骨の伸びも上下のバランスの取れた位置までなんとか伸びて終了することに賭けて、変化の要素はあるもののこどもの時の矯正をします。成長後も、だいたい良いカンジなら、大人の矯正はしない!ということにするならば、こどもの矯正の費用のみで終了することになります。
3.仕上がりを重要視した場合・・・どうせ矯正するなら、今出来ることは全てやるという場合や、付いてくる欠点(お顔のバランス等)は全て呑んでもとにかく歯を抜きたくないという場合です。
3._①・・・最終的に骨のバランス、口元のバランス、上下の咬み合わせ、歯の並びが整った治療結果を得たい場合。今の時期から下顎の骨の伸びをサポートする治療をして、骨のバランスを整えます。はえかわり・骨の成長が落ち着いたら、再診断後、仕上げの矯正として必要ならば抜歯を伴う大人の矯正をするやり方です。
3._②・・・歯を抜かないで最終的な治療結果を得たい場合。今の時期から骨を広げたり、伸ばしたりする必要があります。その際に、成人矯正時の非抜歯治療による欠点を、こどもの矯正を始める時点でキチンと理解することが大変重要です。
何を重要視する?? | こどもの矯正時期の治療例 | ⇒ | 大人の矯正時期の治療例 |
1期間/負担を重視 | 診査診断のみ | ⇒ | 抜歯を伴うかもしれない治療 |
2.費用を重視 | 上顎骨または上顎歯列の拡大、下顎骨の前方への成長促進 | ⇒ | 治療しない (はえかわり完了後、骨の成長後の歯並びかみ合わせ、またお顔のバランスを 受け入れる) |
3.仕上がり ①口元の美しさを重視 |
下顎骨の前方への成長促進、(上顎骨または上顎歯列の拡大) | ⇒ | (たぶん)抜歯を伴う治療 |
3.仕上がり ②非抜歯を重視 |
上顎骨または上顎歯列の拡大、下顎骨の前方への成長促進 | ⇒ |
何とか非抜歯による治療(抜歯の可能性もゼロではありません。お顔のバランスを 受け入れる) |
と、まあ大雑把な例を挙げましたが、どの項目を最重要視するのか(戦略)、お子さんの骨や歯の状態がどうか(現在)、さらにどのような成長発育を遂げていくのか(未来&予想)によって矯正治療は様々です。
「早くやった方がいいわよ」「早くやっても戻っちゃうわよ」「うちの子は取り外しの出来る、寝るときだけの装置なの」「何年もかかってるのよー」「小学生の間はずっとかかるみたいなの」など、お母さん達の感想がそれぞれ違うのはそのためです。
しかし、それらの言葉と一緒にその理由を聞かされていない場合は、他人の感想を聞くと過度に心配になりますよね。そうなると人は耳障りのよい感想の方へ流れていきます。でも、問題やご希望に対する答えになってない治療方法だと、結局、最終的には治りません。